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デザイナーベイビーが現実になってしまった…..


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2018年における科学上の重大ニュースTOP10に間違いなく入るのが、中国の生物物理学者で南方科技大学准教授の賀建奎(フー・ジェンクイ)によって遺伝子操作された双子の女児(デザイナーベイビー)の、誕生である。パンドラの箱を彼は開けてしまったわけである。しかし、この行為によりヒトの遺伝子編集技術において中国は大きな一歩を踏み出したわけである。今回は、今後間違いなく私たちの生活を変えていく遺伝子編集についてデザイナーベイビーを中心に調べてみた。

1.  クリスパー・キャス(CRISPR-Cas)

 遺伝子編集技術の中で標的の遺伝子のみを改変する技術を「ゲノム編集技術」という。このゲノム編集技術は、1990年代から研究が行われていたが、当時研究が行われていた「遺伝子組み換え」などの古い技術は、その成功率が

「受精卵1つに遺伝子改変を加えた際に成功する確率は、1000分の1」

というあまりにも低い確率だったため、とてもヒトに応用できる代物ではなかった。しかし、2012年に報告されたクリスパー・キャス(CRISPR-Cas)という技術は、従来の遺伝子編集技術よりも高効率、安価、平易、高精度な技術でヒトにも応用できる可能性のある技術である。クリスパー・キャス(CRISPR-Cas)は、CRISPR-Cas9という短いRNA鎖と、効率的なDNA切断酵素からなるリボ核タンパク質複合体を用いて遺伝子を再接合などして、その遺伝子を編集する技術である。以下に、このクリスパー・キャス(CRISPR-Cas)を用いてどのようにデザイナーベイビーを作成するのか流れを示す。

卵子を採取  体の外で受精  受精卵にCRISPR-Cas9を注入 → DNAに編集が施される → 子宮にDNAに編集を施した受精卵を移植

2. 人間のどのような特徴をデザインできるのか?

 上で紹介したクリスパー・キャス(CRISPR-Cas)という技術を用いて人間のどのような特徴をデザインできるのか?デザインできる特徴、デザインできない特徴を一般化すると

デザインできる特徴 → 遺伝的要因が大きく影響して生じる特徴(できれば単一遺伝子で決まる特徴)

デザインできない特徴 → 遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合って生じる特徴

となる。デザインできる特徴の例として、

身長 眼の色 特定のウイルスに対する耐性 肌の色 ABO血液型 など

デザインできない特徴の例として、

性格 知能 など

である。

3. 遺伝子編集技術の課題

遺伝子編集技術は、クリスパー・キャス(CRISPR-Cas)の登場によってより私たちが利用しやすい技術となった。しかし、まだ課題も存在する。以下にその課題を示す。

  • 狙った遺伝子とは別の遺伝子を改変するリスク
  • 狙った遺伝子の修正もれ
  • 編集された細胞と編集されていない細胞がまじるリスク
  • ある特定の遺伝子を改変したことによって、また別のリスクを背負う可能性(例えば、ある特定のウイルスに耐性を持つように遺伝子を改変したら、別のウイルスに対して脆弱になってしまったなど)

4. デザイナーベイビーに対する生命倫理

 ゲノム編集は、例えばHIVに耐性ができるようにすることができるなど良い面もたくさんある。そしたら、なぜこのような技術が公で積極的に利用されないのか。そこには、我々の生命に対する倫理観が大きく横たわっている。例えば、ゲノム編集がうまくいかなかったらその子の母親は出産をするだろうか?日本では、現在20万件近くの人工中絶が行われている。この現実の中でゲノム編集がうまくいかなかったとしても、その子の母親は出産をするということが断言できるだろうか?また、HIVに耐性ができるようにすることをそのヒトに対する治療と定義したら、治療とデザインの境界はどう決めるべきか?視力をよくするゲノム編集は治療か、デザインか?このように、我々の認識がゲノム編集技術がもたらす変化に追いついていないことは明白である。

参考記事

https://wired.jp/2018/12/02/gene-editing-crispr-second-pregnancy/

日本の年間中絶数は?自然妊娠中絶と人工妊娠中絶の違い

https://wired.jp/2018/02/04/whats-next-for-crispr/

ニュートン 2018年 2月号

 

 

 

 

 

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