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ロケットを見に行くためにヒッチハイクをした話(1)

 4月27日、10連休が始まった。北海道の大学に通う学生である僕は、この長い休みをどう過ごそうか考えていた。そんな時にふとテレビを見ると、北海道の大樹町でロケットの打ち上げが行われるというニュースがあった。そこで僕は、大学の友人とともに北海道の大樹町で行われるロケットの打ち上げを見に行こうと思い立った。しかし、あまりにも急に予定を立てたため、大樹町まで行く交通手段をどうするかという壁にぶち当たった。

 僕が入っている大学の寮では、ヒッチハイクが1つの文化となっている。毎年新入生は4月に先輩たちに北海道の辺境の地に放り出されて、そこからヒッチハイクで寮まで帰ってくるという行事を経験する。僕は、新入生の頃にこの行事を経験していなかった。そこで、これはいい機会だと思い大樹町までヒッチハイクで行くことにした。一緒に行こうと計画した連れも僕と一緒にヒッチハイクで行くことになった。

 4月29日の当日、僕はヒッチハイクの準備を始めた。ダンボールにマジックペンで大きく帯広方面と書いた。しかし、いきなり僕は精神的な壁にぶち当たった。一緒に行くはずだった連れの奴が体調不良を訴えて行かないと言い出したのだ。「さあ、どうしようか」と僕は思った。結局、僕は1人でヒッチハイクで大樹町まで行くことにした。

 4月29日の午後3時、僕はヒッチハイクを始めた。僕の大学は札幌にあり、まず札幌から抜け出す(いわゆる脱札)ことをしなければならないのだが、これが思いの外難しかった。僕は、札幌北IC付近で車を捕まえようとしていたのだがこれがなかなか捕まらない。やはり高速道路の近くということもあり車もそれなりのスピードを出しているため僕に気づかないのかもしれない。それに、だんだんと日も沈んできてなおさら僕にとっては不運な状況となってしまった。

 午後6時も過ぎた頃、ガソリンスタンドの前で帯広方面と書いたダンボールを掲げていたところ(スタンドの明るさと給油終わりの車目的でそこにいた)、1人の大学生が僕に声をかけてきた。

 大学生「ヒッチハイクをやっているんですか?」

僕「はい」

大学生「僕も高校生の頃、兄と一緒にヒッチハイクをしたことをあるんですよ」

僕「どこまで行ったんですか?」

大学生「北海道から鹿児島まで」

 僕は、「はぇー」と心の中で驚いた。北海道から鹿児島までと言ったら2500kmぐらいある。それをヒッチハイクで行くというのは、可能だろうが精神的に辛そうである。彼は、続けてこう言った。

大学生「ここだと車を捕まえるのは難しいかもしれませんね。」

僕「どこで捕まえるのがいいですかね?」

大学生「交差点付近とかいいですよ。車も速度を落としますし。」

大学生「交差点の向こう側にコンビニとかあったら最高ですね。車がそこで停車することができるので」

大学生「この先に交差点があるんですが、そこはいいですよ。渡った先にコンビニがありますし」

 大学生に連れられて実際にそこに行ってみた。最初はいまいちヒッチハイクにいいポイントなのかどうか分からなかった。とりあえずダンボールを掲げてみた。効果はすぐに感じた。さっきまでヒッチハイクを行っていたポイントに比べて、明らかにドライバーの視線を感じるのである。少し恥ずかしい気持ちもあったが、それよりも期待に胸が踊る気持ちの方が上まっていた。

しばらく、ダンボールを掲げていたら大学生がまたアドバイスをくれた。

大学生「帯広だと少し難しいかもしれないですね。もう少しやってみてダメだったら恵庭とか千歳に変えてやってみるのもいいかもしれないですね。」

そのアドバイスをくれた後、別れの挨拶をして大学生は僕の元を去っていった。しかしそれで終わらなかった。なんと、その大学生は向かいのコンビニで僕にお茶と焼き鳥を買ってきてくれたのだ。

大学生「寒いんでどうぞ。」

僕「ありがとうございます!」

大学生「あまり無理をしないように気をつけてください。それじゃ」

 かっこいいなと思った。それにヒッチハイクを続ける元気も出てきた。世の中、いい人もいるもんだなと晴れやかな気持ちにもなった。しばらくして、僕は大学生のアドバイス通りにダンボールの文字を帯広から恵庭に変えた。その数分後、1台目の車を捕まえることができた。

ロケットを見に行くためにヒッチハイクをした話(2)

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