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ロケットを見に行くためにヒッチハイクをした話(2)

 恵庭行きのダンボールを掲げて、運よく僕は車を捕まえることができた。乗せてくれたのは、20歳半ばくらいのお兄さん。お兄さんの姉が航空関係の仕事から戻ってきたため、新千歳空港まで迎えに行く途中だったという。

 お兄さんは理学療法士ということだ。主に、怪我をした人のリハビリを支援している仕事をしているのだという。僕が「10連休はどれくらい休めそうですか」ということを聞いたら、お兄さんは「土日含めて多くても3日ぐらいかな」と答えた。大学でも看護学科などは連休中に実習があるなど大変そうだなと思ったが、やっぱり看護師同様、患者さん相手の仕事である理学療法士も休みが取れないのだなと思った。

その後、学生時代にやっていたスポーツの話などをした後に、お兄さんは唐突にこう行った。

 お兄さん「俺も高校の頃にヒッチハイクをやろうと思ったんだよね。」

お兄さんは、こう続けた。

お兄さん「でも実際にやることはできなかったなあ。」

 最初は、恵庭で降ろしてもらう予定だったが車内での話が弾んだこと、千歳の方が交通量が多いので車も捕まえやすいのではないかというお兄さんの提案に乗って、千歳まで送ってもらった。別れ際、お兄さんは僕にこう声をかけた。

お兄さん「時間はたっぷりあるからヒッチハイクを楽しんで。今しかできないしな。」

そう言って、僕に拳を突き出した。僕もそれに返した。「でも実際にやることはできなかったなあ」という言葉が今でも僕の中に残っている。

 さて、千歳駅前までお兄さんに送ってもらって時計を見てみると、すでに午後9時を回っていた。今日中にできれば帯広まで到達したかった僕は、自分の無計画さを思い知ってなんだか楽しくなった。その勢いで僕は、そのまま千歳駅前の通りでヒッチハイクを再開した。

しかし、1時間しても車は捕まらない。悶々としている時、男性が声をかけてきた。

男性「君、帯広行きたいの?」

僕「そうなんですけど、車がなかなか捕まらなくて」

男性「ここからじゃ、帯広行きの車を捕まえるのは厳しいよ。274(国道274号線)沿いを狙わないと」

僕「274はどこにあるんですか?」

男性「北広島、恵庭の中間ぐらいだよ。」

「まじか・・。」と思った。しかし、男性がこう続けた。

 男性「明日の朝なら274の入り口までなら送ってあげるよ」

「助かった」と思った。それから男性と少しばかり話した。僕がなんで帯広に行くのか?男性の仕事、僕が大学で学んでいること、男性の学生時代、男性の帰省理由(今は首都圏に住んでいる)・・・。まあ、いろんなことを話したが僕が印象に残ったのは、「この歳になると君のようなことはしたくてもできない」という言葉だった。男性とは、明日千歳駅で朝、待ち合わせるということで一旦別れた。僕は、漫画喫茶に泊まることにした。時計を見るとすでに1時を過ぎていた。

 翌朝、待ち合わせの千歳駅で男性と合流した。男性に車で274号線沿いの「マオイの丘自然公園」という道の駅まで送ってもらった。道の駅につくと男性にコーヒーをおごってもらった。それから少し男性と雑談を交わした。男性の学生時代についての話を詳しく聞いた。自転車で山奥まで行って遭難しかけた話、研究室のメンバーと環境評価の為に穴を掘った話(男性は園芸化学部とかなんとかの出身、詳しくは覚えていない)、どれもどこかバカっぽくて好きだった。男性とは、ここで別れた。僕の男性の第一印象は、少し堅物そうな人だなと思ったけど全然違った。結構バカもやっていて話も面白かった。もしかしたら、多くの大人がこの男性のようなのかもしれない。そう考えると、人と話すのも面白い気がしてきた。

 別れた後、「マオイの丘自然公園」で再びヒッチハイクを始めた。男性の言う通りすぐに帯広行きの車を捕まえることができた。次回は、この車で出会ったご夫婦についての話から始めようと思う。

ロケットを見に行くためにヒッチハイクをした話(1)

 

 

 

 

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