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生命の起源を説明する論説をまとめてみた


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 人間は、自分たちや他の生物が一体いつ、どこから誕生してきたのか絶えず疑問に思ってきました。その疑問を解決するために古代では宗教の専門家が何とか説明を加えようと試みてきました。17世紀以降、近代科学の発展(具体的には顕微鏡の発明など)を契機として生命の起源を科学的な根拠に基づいて説明しようとする動きが高まりました。ここで生命の起源を論じる役者は、宗教家から科学者へと移行していきました。現在まで、生命の起源を説明する様々な科学的論説が発表されています。今回は、それらの論説の中で特に有名な論説を紹介します。

1.  化学進化説

 まず、生命の起源を説明する学説として取り上げたいのが化学進化説である。そもそも、私たちの体の中で発現している現象(代謝や免疫反応)などは、全て化学反応である(例:グルコース → グルコース-6-リン酸 → フルクトース-1,6-リン酸 → 乳酸or酢酸)。このような事実から、生命の起源を何かしらの化学物質の化学反応に求めるという推論は至極当然の考えである。現在、一般的に説明されている化学進化説の内容は以下である。

  1. 生命を構成するための材料になる有機化合物が、無機化合物から作られた段階(簡単な低分子の有機化合物から作られた)
  2. 有機化合物が原始海洋中にたまり、それらが何らかの自然現象により変化を受けて、タンパク質や核酸などの複雑な有機物が形成される
  3. それらの有機物が組織化されて生命が生まれる

化学進化が起きやすい原始地球と似たような環境も発見されている。その1つが熱水噴出孔である。

図1 熱水噴出孔

2. オパーリンの仮説

 化学進化説に通りにタンパク質などの複雑な有機物が形成されても、からだの構成材料ができただけで生命の細胞のような動き(代謝など)は見られない。そこで有機化合物が高濃度で濃縮した状態になるような一種ののようなものが生命の誕生には必要であったと考えられる。高分子化合物の溶液においては、実際にコロイド粒子が集まって独立した液滴を形成することがある。この液滴をコアセルベートという。ロシアのオパーリンは、コアセルベートのような段階を経て細胞が誕生したと考えた。コアセルベートは、外から加えた有機物を取り込んで代謝するなど、あたかも細胞を思わせるようなはたらきを示す。

3. ワールド仮説

 コアセルベートが生命体となるためには、自己増殖の能力を得る必要がある。生物の自己増殖は、DNAの自己複製と、遺伝情報が発現して合成されるタンパク質によっている。DNA、タンパク質、そしてDNAとタンパク質を結ぶ物質であるRNA、この3つの内どれが一番最初に生まれたのか、生命の起源の議論をする際には大きな問題となる。

3−1 RNAワールド仮説

 RNAワールド仮説は、「原始地球においては、RNAが遺伝情報(DNA)と酵素(タンパク質)としてのはたらきのどちらも果たしていた」という仮説である。つまり、上で説明した3つの物質の内、RNAがまず存在していたという説である。アメリカのチェックが、酵素として働くRNA(リボザイム)が存在することを発見したことにより、強く支持されるようになった。

3−2 DNAワールド仮説

 DNA → mRNA(RNAの一種)→ タンパク質の生成(この流れをセントラルドグマという)という流れが生命の起源の時代から存在していたとすれば、遺伝情報を担っていて、複製機構も整っているDNAが生命誕生のスタート台に立っていたと考えることもできる。従って、DNAがまず存在していたと主張する説がDNAワールド仮説である。しかし、DNA自体に触媒活性がなく(わずかにあるものもある)、複製能力が存在しないため、この説を信じている学者は少ない。

3−3 プロテインワールド仮説

この説は、ユーリー・ミラーの実験(図2)に見られるように、原始大気組成の下でアミノ酸が合成されたこと、特にグリシン(G)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)、バリン(V)から成るペプチドが形成されており、このペプチドは高い触媒活性を持っていることを考慮に入れて組み立てられた仮説。まずタンパク質からRNAに遺伝情報が伝達され、それがDNAに渡されて原始生命体が出来上がったとされる。タンパク質の触媒活性が高いことから、支持者は多いが、ペプチドに複製能力がない点は欠点の一つとなっている。

 

図2 ユーリー・ミラーの実験

 

 今回、紹介した説は高校の生物の教科書にも紹介されているような生命の起源を説明する論説としてはとても有名なものばかりである。上で紹介した説以外にも粘土鉱物の表面で生命は生まれた粘土鉱物の層状構造をDNAが乗っ取った)という説などがある。生命の起源をめぐる謎は、これからも科学者たちが追い求める謎であることに変わりない。

 

 

 

 

 

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